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00 本当の民間リスクによる資金を活用したPFI手法の導入に必要な検討プロセス

求められているのは、公共債務を拡大させない民間リスクによる投資

ここのところPFI事業がまた新たな脚光を浴びつつあります。

安倍政権による後押しもありますが、トンネルの天井崩壊をはじめとして高度経済成長期に投資した社会インフラの老朽化が顕著化しており、これらへの投資が待ったなしになりつつあることが理由の1つであると考えられます。

本来のPFI手法は、必要な公共投資のリスクを民間にとらせることから、施設整備の債務は民間の債務となります。従って、十分にキャッシュを持っているものが投資を行えば、それは単にキャッシュから優良資産への転換になるだけです。つまり、適切に民間がリスクをとる形で民間資金を使った投資をさせれば、公債が増える要素はないのです。

ところが、BTO手法と呼ばれる日本版PFI手法は、割賦払いから抜けきれません。割賦払いをすると、確かに従来手法と比べてキャッシュフローは楽になります。しかしながら、その分累積債務が増えます。つまり、日本版PFI手法は長期的な財務の健全化に反する手法なのです。

また、このような日本版PFIでは、民間企業にしてみても、割賦払いの仕組みであることから、施設整備の仕様書がガチガチに固められていて、民間ノウハウをうまく活用して付加価値を作り出すことが出来ない仕組みです。より良い実施手法を持っているのに、評価の対象になっていないためにそれを提案しないといった事例が後を絶ちません。

本来ならば官民がWin-Winの関係を構築できるはずの手法を、Lose-Loseになるように使ってしまっているのです。

熊谷弘志事務所は、このような間違った使い方をしている手法を、本来の活用方法に修正することによって、もっとおおきなVFM(お金を利用することから生み出される価値)を生み出すためのご支援を行います。

具体的には、割賦払いではなく、受け取ったサービスに対して対価を支払う民間リスク移転型PFI手法を導入するためのコンサルティングサービスとして、次のようなサービスを官民双方に対してご提供いたします。

 

パブリックセクターへご提供するサービス

PFI手法を活用することが適切かどうかの導入可能調査から、アウトプット仕様書の作成、モニタリング手法の検討、支払いメカニズムの構築、入札評価基準の策定支援、事業者提案の評価支援、事業者との契約内容の交渉等、PFI事業を推進するために必要な実務サービスの提供を行います。

また、職員へのPFI研修の提供、既存のPFI事業の契約の見直し、公共施設の資産見直し、長期的施設運用計画策定支援、PFI事業に至らなかった場合の業務改善支援等のサービスもご提供します。

 サービス概要の説明

ここでは、導入可能調査に必要な、方向性策定分析、現状調査及び分析、望ましい姿の分析、現状と望ましい姿のずれを明確化するFit&Gap分析についての概要を説明します。

VFMを適切に算定するには、これらの作業に加えて、アウトプット仕様の概要策定や、モニタリング手法の検討、支払いメカニズムの構築等の検討も行います。

これまでの豊富なコンサルティングサービスに基づき、作業を効率化するための各種ツールを活用しながら、職員の負荷をなるべく小さいものにしながら、なるべく職員が主体的に取り組んでいくことが出来るようにご支援します。

民間セクターへご提供するサービス

PFI事業に参画する民間事業者への各種コンサルティングサービスに加えて、コーポレートPFI手法による民民における施設調達のご支援も行います。

 

詳しい内容のお問い合わせについては、以下のボタンでご連絡ください。

お問い合わせ

 

01 ステップ1:Mission Vision分析(組織の方向性分析)

方向性の明確化

どのような作業を行うにも、まず最初に、その方向性を明確化することが重要です。

組織は組織のミッション(存在意義)を頂点として、それぞれの部門や部署が役割分担をしながら、業務の推進を行っています。そのため、業務刷新化の方向性策定作業は、組織の内部環境を踏まえ、刷新化する際の目標・方策、刷新化目標の数値化と測定方法、刷新化の方策に掲げられた内容を具体的に実施する際の優先順位などについて、組織の長から担当者に至る組織内の全スタッフが合意形成することを目指す必要があります。

PFIという解決方法を含めた事業の方向性を決めるプロセスは、”EA (Enterprise Architecture)”で整理されたものを活用すると効率的に実施できます。方向性を決める段階から、ITを使ったモニタリングを行うことを想定しておくことが重要です。

この方向性策定分析が適切でないと、改善の為に行ったはずのものが却って組織の効率的な運営を妨げたり、想定していたような効果がでなかったりすること生じます。

そのため、以下のような作業を通じて、短期間でどれだけ効率よく方向性策定分析をすることができるのかが、方向性を決める為の分析手法として構築されてきました。

これらの確認プロセスは、IT導入を行うときだけでなく、PFIを含めた一般的な業務改善を実施する場合のプロセスとしても活用可能です。PFI等の具体的な事業改善の検討を行う前に、この方向性を明確にすることが事業を成功させるための要因のひとつです。

方向性策定分析のプロセス

1) 各種資料の収集
刷新化の方向性策定作業における検討材料となる、統計情報、総合計画、住民満足度調査結果などの資料を収集します。

2) 責任者の方針提示
責任者の方針を、責任者のコミットメント等(事業部のミッションや目標、目的等)を参照しつつ、質疑応答によって確認します。

3) 環境分析
組織の内部環境(強み、弱み)と、外部環境(機会、脅威)に関して一般的な整理を行った上で、担当者との合意形成を図ります。

4) 組織目標の確認
組織の全般的な目標と目標を達成するための方策がすでに策定されている場合は、その内容を関連部署の担当者と確認します。

5) 行動成功要因分析
組織の内部環境や外部環境を踏まえ、目標を達成するための前提条件や刷新化の際のポイントとなる「行動成功要因」について、担当者と合意形成を図ります。

6) 目的手段分析
業務を刷新化する目的と、目的を実際に達成するための手段(刷新化の方策)との因果関係(目的と手段の階層構造)や優先順位について、担当者との合意形成を図ります。

7) 3段階工程表検討
目的達成のための手段の短期、中期、長期の段階的な実施方法(刷新化の方策に掲げられた内容の実施に関する優先順位)に関して担当者との合意形成を図ります。

8) 行動目標設定
刷新化の方策に掲げられた内容を実施することによる達成数値目標(何がどうなれば、目的が達成されたとみなされるか)について担当者との合意形成を図ります。

オフィス熊谷では、事業の特性に応じて、これらのプロセスから、必要なものを適切な順に並べ替えて活用しながら効率的に方向性策定分析を行います。

02 ステップ2:AS-IS分析(現状把握するための分析)

一般的に、組織はミッション(存在価値)が明確であり、具体的な目的を持ち、その目的を達成する為の目標値が設定され、必要な業務が適切に遂行されるならば、当該業務の遂行によって付加価値を生みだすことができます。
その結果、事業が拡大し、または品質が向上し、さらには費用の削減につながっていきます。

しかしながら、最初の構築段階で想定していた目的や目標を維持し続けることは困難です。
それは、目的や目標が既に達成されたり、新たな目的や目標に置き換わったり、組織の存在価値そのものがなくなったりしてしまう可能性があるからです。
この原因は、内部環境の変化と、外部環境の変化によってもたらされます。

気をつける必要があるのは、同じような仕組みを持っていたとしても、組織の特性に応じて、その現状が適切である場合と、適切でない場合がある事を理解することです。

例えば、今まで、ずっと、手書きのカルテで診療を続けていた診療所が、電子カルテがはやっているからと言う外部要因だけを理由に、電子カルテの導入に踏み切る場合はどうでしょうか。
内部要因であるスタッフがITをよく理解しており、確実に効果が生まれると考えられる場合には良いかもしれません。
しかしながら、既存のカルテ管理は得意だが、電子化にはついていけないスタッフしか抱えていない場合、追加コストが把握することで逆に効率が低下してしまうこともあり得ます。

また、現状を適切に把握できていないと、将来のあるべき姿の把握ができないこともあるので、あるべき姿の検討を行う前に、現状分析を終わらせておくことが重要になります。

さらに、具体的にどのような改善を行いたいのかによって、把握しなければならない現状の内容も異なってきます。

近年のIT化に伴って、現行業務の刷新化に加えて、現行の業務システムの刷新化も行う必要があるかどうかを判断しなければならない場合がしばしばあります。
その為には、改善の「制約条件」を明確化する為に、情報システムの現状整理と管理責任部署の明確化(棚卸)も行っておく必要があります。

ITを導入する場合には、ITを導入する部分の業務だけでなく、その後に手作業として継続し続ける部分も含めて作業の可視化を行います。ケースによっては、ITを活用する部分は大きく異なりますが、適切な現状分析を行うためにはIT処理をしている部分以外も含めた業務の効率的な遂行が必要だからです。IT案件であっても、そうでなくても、必要な分析にはそれほど大きな違いはありません。

現状分析の為の各種ツール

1)業務説明書

2)機能分析表(DMM:Diamond Mandala Matrix)

3)機能情報関連図

4)業務要件定義表

5)業務フロー分析表 IT部分は、データフロー分析表DFD(Data Flow Diagram)

6)抽象化分析表

7)イベントエンティティ表

8)ITの場合は、情報体系整理図(UML(Unified Model Language)クラス図)

9)  SWOT分析

10)財務分析

この現状分析が適切でないと、改善の為に行ったはずのものが却って効率的な運営を妨げたり、想定していたような効果がでなかったりすることが生じます。
そのため、以下のような様々なツールを活用しながら、短期間でどれだけ効率よく現状把握をすることができるのかが、現状分析として構築されてきました。

これらのプロセスやツールは、IT導入だけでなく、PFIという将来の選択肢を含めた事業計画のための一般的な現状把握のツールとして活用可能です。特に、大型のPFI案件において、モニタリングにITを活用しないケースはないといえることから、ITを効率よく活用して、従来の業務を抜本的に改善することを想定した発注者側の仕様書を策定する場合に、このようなEAの仕組みを効果的に活用することが可能です。

日本のPFI事業の課題のひとつとして、PFI手法を活用しようとしている事業の現状分析を適切に行っていないことがあげられます。
情報が開示されていないため、当該情報を想定できない中小の企業が事業に参画できないことになります。
このようなツールを活用して現状をできるだけ可視化して、具体的な事業の解決方法を民間事業者に提案させるための資料として提供することが、参画企業を増やし、適正な競争を働かせるためにも非常に重要なポイントとなるのです。

オフィス熊谷では、事業の特性に応じて、これらのツールの中から、適切なものを選択して活用しながら効率的に現状把握を行います。

03 ステップ3:To-Be分析(望ましい姿を明確化する分析)

事業改善が成功したかどうかを判断するのは当該事業改善を行う組織の責任者です。
従って、コンサルタントのような外部の人間や、担当者レベルで本当に重要なことであったとしても、責任者が重要だと思っていなければ、そのような業務改善は評価に値しないものとなります。
これは、組織が活用できる資源に限度がある為に、重要性の優先順位を設定する責任者の意向が大きく影響する部分です。

そのため、事業責任者の方針等を踏まえた刷新化の方向性に従って業務遂行上のあるべき姿(To−Be)を整理する必要があります。
現状(As−Is)分析で明らかになった内部環境と外部環境からをもとにして、事業責任者の方針等を踏まえた刷新化の方向性に従って、対象となる業務の「機能」と「要求水準」を連動させて捉え直します。
但し、事業責任者が間違った前提条件に基づいていたり、望ましい姿がずれていたりする場合には、前提条件を修正したり、望ましい姿についてのアドバイスを行います。

また、業務目標が達成できたかどうかを測るためは、その業務によって、資源(ひと、もの、かね)の状況がどう変化したかを把握する必要があることから、業務のKPI(重要業績指標)の設定、及び達成度合いの測定に係る「モニタリングの頻度や重要性」についても検討します。

これらの作業によって、業務の「あるべき姿(ToBe)」が作成されます。
業務の「あるべき姿(ToBe)」は、結果としてどのような結果を要求するのかかに限定し、手段や手法は自由提案に任せることが望ましいのですが、実際には様々な制限事項(法制度面、人事面、予算面、既存システムなどの実現手段面、等々)が存在します。

したがって、その業務の「あるべき姿(ToBe)」を実現するためには、既存の手段や手法に適用される制限事項を設定するのではなく、イノベーティブな手法が提案できるように、様々な制限事項を解決する方策(法制度の見直し、組織の見直し、予算飲み直し、手段や手法の見直し、等々)を検討する必要があります。

本作業では、 業務の「あるべき姿(ToBe)」を作成するものの、業務の「あるべき姿(ToBe)」を実現するための方策については、事業者の提案内容がなるべく幅広くなるように検討することを目的とします。

<実施方法>

1. 分析作業の準備
•分析対象業務について、あらかじめ、「基本的な機能や情報の組合せによる業務把握作業」を実施しておきます。
•分析作業参加者を集めた業務のあるべき姿(ToBe)の検討の場を設けます。

2.  業務の「あるべき姿(ToBe)」のまとめ
•「基本的な機能や要求水準の組合せによる業務把握作業」によって示された対象業務の本来の姿に、「刷新化の方向性策定作業」において定められた方針に沿って、対象となる業務について「機能」と「要求水準」の組合せをリスト化します。
•事業責任者の方針に沿って策定された刷新化の方向性に従って捉え直された業務の本来の姿に、業務目標の設定及び達成度合いの測定に係る「機能」や「要求水準」を追加した「その業務のあるべき姿(ToBe)」をリスト化します。
•分析ツールは、現状分析で活用したツールの中から適切なものを選定して、可視化作業を行います。

1)業務説明書、

2)機能分析表(DMM:Diamond Mandala Matrix)、

3)機能情報関連図、

4)業務要件定義表、

5)業務フロー分析表、IT部分はデータフロー分析表DFD(Data Flow Diagram)、

6)抽象化分析表、

7)イベントエンティティ表、

8)ITの場合は情報体系整理図(UML(Unified Model Language)クラス図)等

9)  SWOT分析

10)財務分析

3.  業務の「あるべき姿(ToBe)」の実現に向けた検討

•その業務の「あるべき姿(ToBe)」の実現に係る様々な制限事項(法制度面、人事面、予算面、既存システムなどの実現手段面、等々)、それら制限事項を解決する方策(法制度の見直し、組織の見直し、予算飲み直し、手段や手法の見直し、等々)、また、それら方策に沿って業務が柔軟に変えられるような業務構造(ToBe)について、グループ討議を交えて検討し、その結果をリスト化します。

このTo-Be分析が適切でないと、改善の為に行ったはずのものが却って組織の効率的な運営を妨げたり、想定していたような効果がでなかったりすることが生じます。

これらのプロセスやツールは、試行錯誤の作業の中で短期間でどれだけ効率よくTo-Be分析をすることができるのかについてのノウハウを積み上げて構築されてきたものです。

これらのツールや確認プロセスは、IT導入を行うときだけでなく、PFIを含めた一般的な業務改善を実施する場合のプロセスとしても活用可能です。

オフィス熊谷では、事業の特性に応じて、これらのツールの中から、適切なものを選択し、適切なプロセスを活用しながら効率的にTo-Be分析を行います。

04 ステップ4:Fit & Gap分析(適合部分とずれの部分を把握する分析)

現状と望ましい姿の両方が明確化できれば、現状のどの部分が望ましい姿に適合しており、どの部分がずれているのかを明確化することができます。

可視化された現状と望ましい姿を比較して、リスト化する作業をFIT&GAP分析と言います。

この作業を行う目的は、単に現状とあるべき姿の間でずれている部分を探し出すだけでなく、望ましい姿を調整したり、把握しそこなっていた現状を再確認したりすることによって、現状(As-Is分析の結果)と、 望ましい姿(To-Be分析の結果)を修正することにあります。

特に、あるべき姿の指標を設定するにあたっては、短期的視点と中長期的視点の観点、財務的視点と被財務的視点の観点、内部的視点と外部的視点の観点からバランスのとれた目標値を設定することが重要です。

すなわち、BSC(Balanced Score Card)の考え方の活用です。(ただし、民間と行政では価値基準が違うため、民間で使われているBSCをそのまま利用すると、うまく行かないことがありますので留意する必要があります。)

現状と、あるべき姿は内部環境や外部環境が異なることで変化します。

また、GAPが大きくても方向性と関連性がない場合には、その優先順位は低くなることもあり得ます。

例えば、現状として紙媒体のカルテで診療を行っている診療所の望ましい姿が、電子カルテを導入した診療であり、これによって業務効率が大きく変化する可能性があったとします。
しかしながら、その診療所が地上げの対象となっており、組織としての方向性が診療所を高値で売却することであった場合、紙媒体のカルテを電子カルテに変換することの重要性は、今後継続して診療を続けていく状況下にある診療所とは大きく異なります。
すなわち、そのカルテ管理方法を改善するコストや改善の努力をコストに換算した総額が、それによって影響される診療所の売却価格の上昇額を上回らない限りにおいては、そのような改善を行うことには意味がないことになるからです。

このFit & Gap分析が適切でないと、改善そのものがうまくいかない事が生じます。

適切なFit & Gap分析を行い、現状分析や、あるべき姿の明確化を適切に修正することが、効率的に作業を進めるにおいては不可欠のものです。

これらの分析手法は、IT導入を行うときだけでなく、PFIを含めた一般的な業務改善を実施する場合の分析手法としても活用可能です。

オフィス熊谷では、事業の特性に応じて、適切なFit & Gap分析を行った上で、適切に現状分析やあるべき姿の調整を行います。