ガラパゴス化した日本のコンセッション方式 その2

ガラパゴス化した日本のコンセッション方式 その2

さて、前回は日本のコンセッション方式がガラパゴス化している原因はPFI法にあると述べた。

俗にいうPFI法、正式名称は「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」は平成11年7月30日に施行した。

海外のコンセッションやPPP手法とは、基本的には、民間投資をさせることによって、民間の責任で施設を整備する為のものであり、発注者は投資を行わない手法である。民間に投資させ、施設を民間に所有させるが、その運営期間に於ける運営権を民間に与えるという仕組みである。

ところが、日本のPFI法には、投資という概念は出てこない。あくまでも「民間資金等の活用」という概念である。従来のように公共の資金を使って施設整備をする代りに、民間の資金は使って公共施設を整備するという程度の意味合いである。つまり、公共が施設を所有する為に民間資金を使うのだから、マイカーのローンと同様に、その債務は公共のものであり民間投資ではないのである。

このように、もともと、導入したときから、海外とは異なった概念で導入されたPFI手法が最後に改正されたのは、平成25年6月12日であり、施行後10階目の改正である。

14年間で10回、つまり、1.4年に1回改正されてきたことになる。最初からガラパゴス化されて導入された手法であるから、改正される毎に、さらに特殊な日本のしくみが法律によって組み込まれ、きわめてガラパゴス化した法律になっている。

具体的に、そのガラパゴス化を少し紹介してみよう。

民間が施設を所有する手法をBOT方式、公共が施設を所有する方式をBTO方式と呼ぶが、この法律の仕組みから、どちらも、その債務は公共がもつことになり、民間投資ではない。PFIのBOT手法で有名だった近江八幡市病院は、施設のファイナンスリースであったことから、形の上では、民間の所有になっていたものの、実態は、リース資産の債務として病院のバランスシードで認識していた。

もちろん本場の英国にも、このような公共側が事業の債務を持っている案件もあるが、半分程度は、民間投資による民間債務であり、日本のようにほぼ100%が公共の債務によるPFI事業は特殊なケースである。

日本のPFI事業は、海外のモデルに比べて、事業のモニタリングが出来ていないとよく言われる。それは、公共が施設整備費の債務を持っていることから、べつにモニタリングをしてもしなくても、モニタリングの結果が良くても悪くても、施設整備費の減額が発生することはないからである。つまり、モニタリングをする必要がない仕組みになっているのである。

投資をさせて、債務を投資者である民間に持たせた上で、その施設の機能のモニタリング結果に応じて支払いを変動させる仕組みを導入しない限りにおいては民間へのリスク移転が出来ないことになる。

さて、ここまでで、既に日本のPFIがPFI法によって、ガラパゴス化されていることが分かると思うが、この法律に、コンセッションという「民間投資に対して運営権を与える仕組み」を平成23年の改訂で組み込んでしまったので、ガラパゴス化もかなり極みに近づいている。このガラパゴス化したコンセッションでは、民間投資は促進できない。

この背景を簡単にWikipediaを使って確認してみよう。

英語のWikipediaでConcessionを引くと次のような説明が出てくる。

公共サービスのコンセッションでは、政府と、与えられた期間における公共施設に対する運営、維持管理、投資の権利が与えられるものであること。

これに対して、アフェルマージュと言う形態の場合は、リースとマネジメントの契約であり、投資責任は公共にある。

Public services such as water supply may be operated as a concession. In the case of a public service concession, a private company enters into an agreement with the government to have the exclusive right to operate, maintain and carry out investment in a public utility (such as a water privatisation) for a given number of years.

Other forms of contracts between public and private entities, namely lease contract and management contract (in the water sector often called by the French term affermage), are closely related but differ from a concession in the rights of the operator and its remuneration. A lease gives a company the right to operate and maintain a public utility, but investment remains the responsibility of the public.

つまり、日本で導入したコンセッションとは、アフェルマージュのことであり、民間による投資が前提となっていないのである。

今、新興国で求められているのは、新興国政府が負えない投資リスクを民間に取ってもらう為に、民間投資によって施設を整備する方法である。このような民間投資を望んでいる新興国に、日本式のPFIを前提としたコンセッションを持ち込もうとしても、需要と供給がマッチしない。

次は、このような状況の中においてどのようにすれば良いのかを、世界的な投資による経済活性化の観点から述べることにする。

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