神奈川県「衛生研究所」のPFI導入に関する検証結果をチェックした

神奈川県「衛生研究所」のPFI導入に関する検証結果をチェックした

本文: 県有施設のPFI導入に係る効果等に関する検証結果

添付資料:同報告書 巻末参考資料

本報告書の大きな問題点は、本文だけを見て巻末参考資料の詳細を見ないと、この報告書の問題点が見えないところにある。

神奈川県立衛生研究所のPFI事業の評価

 1. 客観性に欠ける評価結果

衛生研究所の調査結果は、添付資料から確認すると以下の通りである。この添付資料の評価部分に基づいて本文が策定されているため、本文だけを見る限りにおいては、問題がなさそうに見えるが、本来の評価はどうあるべきかを考えると改善が必要な問題点があることがわかる。

1−① 清潔さ/衛生状況

設問:施設は常に清潔さが感じられますか。
評価選択肢
割合
A 十分清潔
94%
B 十分とは言えないがおおむね清潔
0%
C 清潔に感じられない場所があった
6%

評価:Aを選んだ人の割合は94%となっており、概して清潔な環境が維持されていると考えられる。

本来の評価:Cが全体の6%あることは施設の性格上、許容できない。場所の特定と改善対応が至急必要である。

衛生研究所の施設特性から考えると、たとえば清潔さ・衛生状況として全体の6%が清潔に感じられない場所があったと指摘していることは明らかに許容範囲を超えており、何らかの問題の発生に繋がる可能性がある。一方で、清潔さについての基準が明確化されていない可能性も高い。

清潔でない状態が引き起こす事象の分析を行った上で、エリアに応じてどのような要求水準を設定するのかについて明確化した上で、利用者がみつけた非衛生的な部分に対しての対応に関するモニタリングの仕組みを構築する必要があると考えられる。

衛生研究所で事故を引き起こす可能性のあるような運営しか出来ない事業者であれば、交代してもらう必要もあるため、この要求水準の設定には十分な検討が必要であると考えられる。

1−② 施設/設備案内

設問:施設を利用するにあたって、わかりやすい案内表示さされていますか。(案内板出入り口表示等)
評価選択肢
割合
Aわかりやすい
0%
B普通
94%
Cわかりにくい
6%

評価:Bを選んだ人の割合は94%なっており、概して利用者にとって利便性のある案内表示がされていると考えられる

本来の評価:Aが0%であるのに対して、Cが6%である。分かりにくい場所の特定と改善対応が必要である。

普通が94%であることのみを記載しているが、わかりやすいと考える人とわかりにくいと考える人の割合を比較した場合に、わかりにくいと考える人の方が多いというのは、明らかにどこかに問題があるものと考えられる。

分かりにくい場所があることによって、何らかの運営上の問題が生じている可能性もあり、分かりにくい場所の特定と改善対応が必要であることは明らかである。

1−③ 温度管理等

設問:施設を利用するにあたり、温度管理や寄稿対策が適切にされていて、快適に利用できますか
評価選択肢
割合
A 十分快適に利用できる
6%
B 普通
72%
C 快適でない
22%

評価:A及びBを選んだ人の割合は78%となっており、概して利用者が過ごしやすいよう気候対策がとられていると考えられる。

本来の評価:Cが22%と全体の2割を超えており許容範囲ではない。快適でない場所の特定と改善対応が至急必要である。

この評価はお手盛りの評価と言われても仕方がない。全体の2割以上が快適でないと評価しているのは、許容範囲を遥かに超えている状態である。

1−④ 施設/設備設計

設問:施設内の各設備備品等は利用しやすいものになっていますか(トイレ,音響設備,展示パネル,事務機器等)
評価選択肢
割合
A 十分利用しやすい
22%
B 普通
67%
C 利用しにくい
11%

評価:A及びBを選んだ人の割合は89%となっており、概して利用者が過ごしやすいよう施設・設備の設計がされていると考えられる。

本来の評価:Cが11%と全体の1割を超えている。利用しにくい部分の特定と改善対応が必要である。

そもそも快適でない設計がなされていた可能性もあるため、オペレーション上での対応のみで、この課題を解決できる可能性があるかどうかは調査をしてみないとわからない。しかしながら、すくなくとも、快適でない場所の特定及び、改善対応については至急検討する必要があると考えられる。

利用しにくいと感じているものが全体の10%以上いることについても、許容範囲を超えているのではないだろうか。

利用しにくい形で、設計。設備設計がそもそも行われた可能性もあるため、オペレーション上での対応のみで、この課題を解決できる可能性があるかどうかは調査をしてみないとわからない。但し、すくなくとも、快適でない場所の特定及び、改善対応については至急検討する必要があると考えられる。

1−⑤ サービス全般

設問:そのたサービス全般について、特段にまんぞくあるいは不満に感じる点がありますか
評価選択肢
割合
A 特段に満足できる点があった。
22%
B 特段不満足な点があった
6%
C 特になし
72%

評価:Aを選んだ人の割合は22%であるのに対して、Bを選んだ人の割合は6%となっており、サービス全般について概して利用者に快く受け止められていると考えられる。

本来の評価:Bが6%いる。具体的に利用しにくい点を特定し、その原因が何であるのかを明確化した上で、改善対応が必要である。

満足できる人と、満足できない人の割合を比較することがそもそも合理的ではない。本来ならば、全ての利用者が満足できると答えるべきであったからである。6%が特段不満足な点を訴えている以上、その原因を明確化した上で、改善対応が必要なことは明らかである。

2. 不適切であっても対応をしていない背景

PFI手法とは、本来ならば、このようなサービスの品質が低下することのリスクを民間に移転するものである。しかしながら実際には品質の改善を要求していない。この背景には、個別の課題で指摘されている要求水準の不明確性があるものと考えられる。

ここでは、衛生研究所を1つの事例として取り上げたが、特にこの手の種類の施設においては、病気の感染等の可能性が考えられるのでほうチュすることは適切ではない。改善方法としては、要求水準の適切な設定が効果的であろう。衛生研究所であれば、英国の病院PFI等の要求水準を参考にすると良い。適切な要求水準の設定を行い、水準を満たさない状態が発生した場合、気がついてから要求水準に戻すまでの修復許容時間を設定することが重要である。

このような要求水準に対して適切に対応できない事業者に対しては、支払いの減額等のペナルティや、契約の解除等の対処が必要となる。

事故が起きてから、ペナルティを与えるのではなく、事故を引き越す可能性のある悪いオペレーションがおこなわれた場合に、ペナルティが発動するような仕組みにすることが重要である。

 

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