神奈川”県有施設のPFI導入に係る効果等に関する検証結果について”をチェックした

神奈川”県有施設のPFI導入に係る効果等に関する検証結果について”をチェックした

県有施設の整備に係るPFI検証委員会が平成24年4月に公表した「県有施設におけるPFI導入に係る効果等に関する検証結果について」の内容を確認してみた。

本文からは、あまり問題点があるとは感じられないが、要求水準が明確でなかったことから、サービス品質がかなり低下している可能性がある。たとえば衛生研究所においては、非衛生的な部分があると指摘したものが6%おり、職員や来訪者に病気の感染等が生じた場合には、行政の不作為の罪に問われても仕方がないような状況である。また、保健福祉大学では、38%が施設設備案内はわかりにくいと評価しており、24%が温度管理が快適でないと評価している。美術館では、25%が清潔に感じられない場所があったとしており、38%が施設設備案内がわかりにくい、25%が施設設備設計が利用しにくい、37%がサービス全般に特段不満足な点があったと評価している。

このような悪い結果を、概ね良好と評価することは常識を逸脱している。この点は私も神奈川県民であるので、神奈川県として真剣に検討することを要望したい。

1)報告書全般について

4回の会議で十分な検証ができるものとは考えられないが、「はじめに」で記載しているように、タイプの異なる6種類のPFI事業について、幅広い視点から横断的に検証したものである。

報告書のタイトルである「PFI導入に係る効果等の検証」を行うのであれば、平成19年11月にまとめられた内閣府のPFI推進委員会報告書「真の意味の官民のパートナーシップ(官民連携)実現に向けて」で指摘されているようなPFIを取り巻く個別の課題について検証すべきであったと考えられるが「本検証でも具体的に解決に向けた方途まで追求しきれなかった。」とコメントされており、具体的な事業毎の検証はなされなかったことがわかる。

ちなみに、内閣府が指摘した個別の課題とは以下のような項目についてである。

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1)要求水準の明確化
(1)要求水準書作成前の段階での明確なコンセプト形成の必要性
(2)要求水準書の具体化、明確化、精緻化の必要性
(3)コストと要求水準書の内容(サービスの質)との関係を明確化する必要性

2)契約書等の標準化の推進

3)リスクの分析及びリスクマネジメント

4)より透明性が高く民間の創意工夫が生かせる入札プロセスの実現
(1)透明性の確保
(2)対話方式の充実
(3)より民間の創意工夫が生かせる入札プロセス

5)運営段階における課題に対する適切な対応
(1)制度変更、技術革新等に伴う当初定めた要求水準書の内容の変更に適切に対応するメカニズムの導入
(2)事業の運営が適切になされるようなモニタリング、支払いメカニズムの充実
① 要求水準書、モニタリング、支払いメカニズムの連動の必要性
② 金融機関のモニタリング等の役割の重要性とユニタリーペイメント
③ 直接協定のガイドライン等への適切な位置づけ等の検討等
④ インセンティヴのあり方等支払いメカニズムの充実の検討
⑤ 建設段階のモニタリングの実施方法等についての検討
(3)中立的な裁定機関の必要性
(4)事業期間終了後の課題に対する対応
(5)運営の比重の高い事業における選定事業者のマネジメント能力の重要性

6)VFM 評価についての継続的検討

7)ファイナンスについての検討25
(1)資金調達のあり方についての検討
(2)地域金融機関の活用の必要性

8)補助金、税制等の支援措置のイコールフッティングの必要性

9)他の官民連携手法とのノウハウの共有、活用及び必要な調整の実施

10)コンサルタントの役割の更なる向上の必要性

11)官民双方がノウハウの共有化をはかる効率的な仕組みの検討

12)プレーヤーの拡大の必要性

13)PFI の市場の拡大に向けた検討

14)地球温暖化防止への対応

15)災害対応その他現下の政策課題にかかわる検討

地方財政の健全化、地域の活性化、国有財産の有効活用への対応については、PFI の具体的な活用の方策等について、今後さらに検討を深めていくものとする。

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