神奈川県「近代美術館」のPFI導入に関する検証結果をチェックした

神奈川県「近代美術館」のPFI導入に関する検証結果をチェックした

衛生研究所に続いて近代美術館の評価についてみてみよう。

本文: 県有施設のPFI導入に係る効果等に関する検証結果

添付資料:同報告書 巻末参考資料

本報告書の大きな問題点は、本文だけを見て巻末参考資料の詳細を見ないと、この報告書の問題点が見えないところにある。

調査結果は、添付資料から確認すると以下の通りである。この添付資料の評価部分に基づいて本文が策定されているため、本文だけを見る限りにおいては、問題がなさそうに見えるが、本来の評価はどうあるべきかを考えると改善が必要な問題点があることがわかる。

神奈川県立近代美術館のPFI事業の評価

1.1来場者への既往アンケート

1−① 清潔さ

設問:施設の清潔度についての満足度を5段階で回答。
評価選択肢
割合
有効回答のみ
1 悪い
0%
0%
0%
0%
3 普通
6%
7%
26%
29%
5 良い
58%
64%
6 無回答
10%

評価 満足度5及び満足度4を選んだ人の割合は約84%、満足度3(普通)を含むと90%となっており、概して清潔な環境が維持されていると考えられる。

本来の評価:有効回答のみの割合で見ると、満足度3(普通)を下回ると評価するものはおらず、普通を上回ると評価した4と5の合計が93%であることから、概して清潔な環境が維持されていると考えられる。

1−② 施設・設備案内

設問:施設内の案内表示の内容について満足度を5段階で回答。
評価選択肢
割合
有効回答のみ
1 悪い
2%
2%
0%
0%
3 普通
20%
22%
34%
38%
5 良い
34%
38%
6 無回答
10%

評価:満足度5及び満足度4を選んだ人の割合は約68%、満足度3(普通)を含むと88%となっており、概して利用者にとって利便性のある案内表示がされていると考えられる。

本来の評価:有効回答のみの割合で見ると、満足度3(普通)をしたまわると評価するものが2%いた。1(悪い)と評価した2%の場所の特定及び悪い内容についての確認が必要である。また、普通を上回ると評価した4と5の合計が78%であるが、普通が22%と高いことから、利用者にとっての利便性を改善する余地があると考えられる。

1−③ 接客

設問:受付やスタッフの印象について満足度を5段階で回答。
評価選択肢
割合
有効回答のみ
1 悪い
2%
2%
0%
0%
3 普通
22%
23%
30%
32%
5 良い
40%
43%
6 無回答
6%

評価:満足度5及び満足度4を選んだ人の割合は70%、満足度3(普通)を含むと92%となっており、概して受付やスタッフの接客サービスは満足されていると考えられる。

本来の評価:有効回答のみの割合で見ると、満足度3(普通)を下回ると評価するものが2%いた。1(悪い)と評価した2%のスタッフの特定及び悪い内容についての確認が必要である。また、普通を上回ると評価した4と5の合計が75%であるが、普通が23%と高いことから、受付やスタッフの接客サービスを改善する余地があると考えられる。

1−④ 付帯事業

設問:ミュージアムショップの印象について満足度を5段階で回答。
評価選択肢
割合
有効回答のみ
1 悪い
2%
3%
4%
5%
3 普通
20%
27%
24%
33%
5 良い
24%
32%
6 無回答
26%

評価:満足度5及び満足度4を選んだ人の割合は48%、満足度3(普通)を含むと68%となっており、概してショップの印象は良いと考えられる。

本来の評価:有効回答のみの割合で見ると、満足度3(普通)を下回ると評価するものが8%いた。1(悪い)と評価した8%の悪い部分の特定についての確認が必要である。また、普通を上回ると評価した4と5の合計が65%であるが、普通が27%と高いことから、ミュージアムショップを改善する余地があると考えられる。

1−⑤ 付帯事業 レストランメニュー、サービス、全体の印象

設問:レストランのメニューについて満足度を5段階で回答。
評価選択肢
割合
有効回答のみ
1 悪い
0%
0%
7%
9%
3 普通
51%
64%
14%
18%
5 良い
7%
9%
6 無回答
21%
設問:レストランのサービスについて満足度を5段階で回答。
評価選択肢
割合
有効回答のみ
1 悪い
0%
0%
0%
0%
3 普通
36%
45%
29%
37%
5 良い
14%
18%
6 無回答
21%
設問:レストランの全体の印象について満足度を5段階で回答。
評価選択肢
割合
有効回答のみ
1 悪い
0%
0%
0%
0%
3 普通
29%
37%
43%
54%
5 良い
7%
9%
6 無回答
21%

評価:メニュー、サービス、全体の印象に関して、満足度5及び満足度4を選んだ人の割合はそれぞれ21%、43%、50%で、満足度3(普通)を含むと、それぞれ72%、79%、79%となっており、一定程度の満足度が得られていると考えられる。

本来の評価:メニュー、サービス、全体の印象に関して、有効回答のみの割合で見ると、満足度3(普通)を下回ると評価するものは、メニューで9%いるものの、サービスと全体の印象にはいない。メニューを1(悪い)と評価した9%の悪い部分の特定についての確認が必要である。また、普通を上回ると評価した4と5の合計は、それぞれ27%、55%、63%であり、普通が64%、45%、37%となっており、メニュー、サービスの順番で優先順位をつけて改善する余地があると考えられる。

2.在勤する県職員へのアンケート

2−① 清潔さ/温度管理等

設問:施設は常に清潔さが感じられますか。
評価選択肢
割合
A 十分清潔
50%
B 十分とは言えないがおおむね清潔
25%
C 清潔に感じられない場所があった
25%

評価:A及びBを選んだ人の割合は75%となっており、概して清潔な環境が維持されていると考えられる。

本来の評価:Cが全体の25%あることは明らかに許容範囲を超えている。場所の特定と改善対応が至急必要である。

清潔さ・衛生状況として全体の25%が清潔に感じられない場所があったと指摘していることは明らかに許容範囲を超えている。このような状態で概して清潔な環境が維持されていると評価できるのか理解に苦しむ。

清潔さについての基準が明確化されていない可能性が高い。

エリアに応じてどのような要求水準を設定するのかについて明確化した上で、利用者がみつけた非衛生的な部分に対しての対応に関するモニタリングの仕組みを構築する必要があると考えられる。

2−② 施設/設備案内

設問:施設を利用するにあたって、わかりやすい案内表示さされていますか。(案内板出入り口表示等)
評価選択肢
割合
Aわかりやすい
0%
B普通
62%
Cわかりにくい
38%

評価:A及びBを選んだ人の割合は62%なっており、概して利用者にとって利便性のある案内表示がされていると考えられる

本来の評価:Aが0%であり、Cが38%である。あきらかに分かりにくい状態であると考えられる。場所の特定と改善対応が至急必要である。

この評価は普通ではない。評価した人の3分の1以上がわかりにくいと言っているのに、どうして「概して利用者にとって利便性のある案内表示がされている」という評価が出来るのか理解に苦しむ。このような評価を行うと、他の施設でもこの程度で良いのかという話になる。

分かりにくい場所があることによって、何らかの運営上の問題が生じている可能性もあり、分かりにくい場所の特定と改善対応が必要であることは明らかである。

2−③ 温度管理等

設問:施設を利用するにあたり、温度管理や寄稿対策が適切にされていて、快適に利用できますか
評価選択肢
割合
A 十分快適に利用できる
0%
B 普通
100%
C 快適でない
0%

評価: A及びBを選んだ人の割合は100%となっており、概して利用者が過ごしやすいよう気候対策がとられていると考えられる。

本来の評価:AもCも0%であるが、どうしてAと答える人がいなかったのかが気になる。

この評価は、問題ではないかもしれないが気にかかる。緊急に対応する必要はないが、質問内容をかえて、十分に快適ではない理由がどこにあるのかを調査することに意義はある。

2−④ 施設/設備設計

設問:施設内の各設備備品等は利用しやすいものになっていますか(トイレ,音響設備,展示パネル,事務機器等)
評価選択肢
割合
A 十分利用しやすい
0%
B 普通
75%
C 利用しにくい
25%

評価: A及びBを選んだ人の割合は75%となっており、概して利用者が過ごしやすいよう施設・設備の設計がされていると考えられる。

本来の評価:Cが25%と全体の4分の1を占める。利用しにくい部分の特定と改善対応が必要である。

この評価も普通ではない。評価した人の4人に1人がわかりにくいと言っているのに、どうして「概して利用者にとって利便性のある案内表示がされている」という評価が出来るのか理解に苦しむ。このような評価を行うと、他の施設でもこの程度で良いのかという話になる。

そもそも快適でない設計がなされていた可能性もあるため、オペレーション上での対応のみで、この課題を解決できる可能性があるかどうかは調査をしてみないとわからない。4人に一人が利用しにくいと答えている点は許容範囲を超えていることから、快適でない場所の特定及び、改善対応については至急検討する必要があると考えられる。

2−⑤ サービス全般

設問:そのたサービス全般について、特段にまんぞくあるいは不満に感じる点がありますか
評価選択肢
割合
A 特段に満足できる点があった。
25%
B 特段不満足な点があった
37%
C 特になし
38%

評価:Aを選んだ人の割合は25%であるのに対して、Bを選んだ人の割合は37%となっており、サービス全般について利用者により受け止め方が異なっていると考えられる。

本来の評価:Aが25%、Bが37%と、BがAを12%上回っていることは許容範囲を超えている。具体的に利用しにくい点を特定し、その原因が何であるのかを明確化した上で、改善対応が必要である。

この評価も普通ではない。満足できる人と、満足できない人の割合を比較することがそもそも合理的ではないが、特段不満足な点がある人が回答者の3分の1以上いるというのは、明らかに許容範囲を超えている。原因を明確化した上で、改善対応が至急必要なことは明らかである。

3.不適切であっても対応をしていない背景

この評価は明らかに尋常ではない。

ある程度の悪い評価は許容範囲として認める必要はあるかもしれないが、これらの数字を見る限りにおいては、あきらかに不適切な運営状況であると言えそうだ。

このような一般的に見れば明らかに悪い評価である結果を、概ね良好と判断していることに対して、委員会から何のコメントもなかったことも理解に苦しむ。

この背景には、個別の課題で指摘されている要求水準の不明確性があるものと考えられる。

このような要求水準に対して適切に対応できない事業者に対しては、支払いの減額等のペナルティや、契約の解除等の対処が必要である。

多分、満足のいく要求をすると事業者から追加要求なのでコストアップになると言われるのかが嫌なため、要求していないのではないかという風に勘ぐられても仕方がない。

コストは下がったとしても、このように評価が悪いのであれば、明らかにVFMがでているとは言いがたい状態である。

 まず実態を把握した上で、契約の改善が必要である。

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