一般的に、組織はミッション(存在価値)が明確であり、具体的な目的を持ち、その目的を達成する為の目標値が設定され、必要な業務が適切に遂行されるならば、当該業務の遂行によって付加価値を生みだすことができます。
その結果、事業が拡大し、または品質が向上し、さらには費用の削減につながっていきます。
しかしながら、最初の構築段階で想定していた目的や目標を維持し続けることは困難です。
それは、目的や目標が既に達成されたり、新たな目的や目標に置き換わったり、組織の存在価値そのものがなくなったりしてしまう可能性があるからです。
この原因は、内部環境の変化と、外部環境の変化によってもたらされます。
気をつける必要があるのは、同じような仕組みを持っていたとしても、組織の特性に応じて、その現状が適切である場合と、適切でない場合がある事を理解することです。
例えば、今まで、ずっと、手書きのカルテで診療を続けていた診療所が、電子カルテがはやっているからと言う外部要因だけを理由に、電子カルテの導入に踏み切る場合はどうでしょうか。
内部要因であるスタッフがITをよく理解しており、確実に効果が生まれると考えられる場合には良いかもしれません。
しかしながら、既存のカルテ管理は得意だが、電子化にはついていけないスタッフしか抱えていない場合、追加コストが把握することで逆に効率が低下してしまうこともあり得ます。
また、現状を適切に把握できていないと、将来のあるべき姿の把握ができないこともあるので、あるべき姿の検討を行う前に、現状分析を終わらせておくことが重要になります。
さらに、具体的にどのような改善を行いたいのかによって、把握しなければならない現状の内容も異なってきます。
近年のIT化に伴って、現行業務の刷新化に加えて、現行の業務システムの刷新化も行う必要があるかどうかを判断しなければならない場合がしばしばあります。
その為には、改善の「制約条件」を明確化する為に、情報システムの現状整理と管理責任部署の明確化(棚卸)も行っておく必要があります。
ITを導入する場合には、ITを導入する部分の業務だけでなく、その後に手作業として継続し続ける部分も含めて作業の可視化を行います。ケースによっては、ITを活用する部分は大きく異なりますが、適切な現状分析を行うためにはIT処理をしている部分以外も含めた業務の効率的な遂行が必要だからです。IT案件であっても、そうでなくても、必要な分析にはそれほど大きな違いはありません。
現状分析の為の各種ツール
1)業務説明書
2)機能分析表(DMM:Diamond Mandala Matrix)
3)機能情報関連図
4)業務要件定義表
5)業務フロー分析表 IT部分は、データフロー分析表DFD(Data Flow Diagram)
6)抽象化分析表
7)イベントエンティティ表
8)ITの場合は、情報体系整理図(UML(Unified Model Language)クラス図)
9) SWOT分析
10)財務分析
この現状分析が適切でないと、改善の為に行ったはずのものが却って効率的な運営を妨げたり、想定していたような効果がでなかったりすることが生じます。
そのため、以下のような様々なツールを活用しながら、短期間でどれだけ効率よく現状把握をすることができるのかが、現状分析として構築されてきました。
これらのプロセスやツールは、IT導入だけでなく、PFIという将来の選択肢を含めた事業計画のための一般的な現状把握のツールとして活用可能です。特に、大型のPFI案件において、モニタリングにITを活用しないケースはないといえることから、ITを効率よく活用して、従来の業務を抜本的に改善することを想定した発注者側の仕様書を策定する場合に、このようなEAの仕組みを効果的に活用することが可能です。
日本のPFI事業の課題のひとつとして、PFI手法を活用しようとしている事業の現状分析を適切に行っていないことがあげられます。
情報が開示されていないため、当該情報を想定できない中小の企業が事業に参画できないことになります。
このようなツールを活用して現状をできるだけ可視化して、具体的な事業の解決方法を民間事業者に提案させるための資料として提供することが、参画企業を増やし、適正な競争を働かせるためにも非常に重要なポイントとなるのです。
オフィス熊谷では、事業の特性に応じて、これらのツールの中から、適切なものを選択して活用しながら効率的に現状把握を行います。
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