現状と望ましい姿の両方が明確化できれば、現状のどの部分が望ましい姿に適合しており、どの部分がずれているのかを明確化することができます。
可視化された現状と望ましい姿を比較して、リスト化する作業をFIT&GAP分析と言います。
この作業を行う目的は、単に現状とあるべき姿の間でずれている部分を探し出すだけでなく、望ましい姿を調整したり、把握しそこなっていた現状を再確認したりすることによって、現状(As-Is分析の結果)と、 望ましい姿(To-Be分析の結果)を修正することにあります。
特に、あるべき姿の指標を設定するにあたっては、短期的視点と中長期的視点の観点、財務的視点と被財務的視点の観点、内部的視点と外部的視点の観点からバランスのとれた目標値を設定することが重要です。
すなわち、BSC(Balanced Score Card)の考え方の活用です。(ただし、民間と行政では価値基準が違うため、民間で使われているBSCをそのまま利用すると、うまく行かないことがありますので留意する必要があります。)
現状と、あるべき姿は内部環境や外部環境が異なることで変化します。
また、GAPが大きくても方向性と関連性がない場合には、その優先順位は低くなることもあり得ます。
例えば、現状として紙媒体のカルテで診療を行っている診療所の望ましい姿が、電子カルテを導入した診療であり、これによって業務効率が大きく変化する可能性があったとします。
しかしながら、その診療所が地上げの対象となっており、組織としての方向性が診療所を高値で売却することであった場合、紙媒体のカルテを電子カルテに変換することの重要性は、今後継続して診療を続けていく状況下にある診療所とは大きく異なります。
すなわち、そのカルテ管理方法を改善するコストや改善の努力をコストに換算した総額が、それによって影響される診療所の売却価格の上昇額を上回らない限りにおいては、そのような改善を行うことには意味がないことになるからです。
このFit & Gap分析が適切でないと、改善そのものがうまくいかない事が生じます。
適切なFit & Gap分析を行い、現状分析や、あるべき姿の明確化を適切に修正することが、効率的に作業を進めるにおいては不可欠のものです。
これらの分析手法は、IT導入を行うときだけでなく、PFIを含めた一般的な業務改善を実施する場合の分析手法としても活用可能です。
オフィス熊谷では、事業の特性に応じて、適切なFit & Gap分析を行った上で、適切に現状分析やあるべき姿の調整を行います。
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