なぜ日本のPFIは割賦払いなのでしょうか?

FAQ

なぜ日本のPFIは割賦払いなのでしょうか?

日本のPFIが割賦払いになってしまったのには、いくつかの理由が考えられます。

1.CF偏重説

CF偏重説とは、現実論として、実際にキャッシュが足りないのだから、キャッシュが回る仕組みを考えたときに、一番わかりやすい方法であるので割賦払いを選択しただけで、そのキャッシュフローが、公的組織のバランスシートや行政コスト計算書にどのように反映されるのかをあまり認識していなかったのではないかというものです。

このように考えるのは、国のバランスシートを見れば、債務を増やすことになる割賦払いを増やせるような状況ではないにもかかわらず、割賦で施設を整備するPFIを増やそうという方針が示されているからです。

地方自治体を足すと、債務はGDPの200%を超えるといわれていますが、平成 23 年度の 国の財務書類(一般会計・特別会計)から国の債務超過額は約460兆円であることがわかります。(そもそも、この平成24年3月末に〆めた会計報告が公表されたのが平成25年3月29日と、どうして1年もかかったのか不思議です。たとえば、英国の2013年3月31日締めの国のバランスシートは、Annual Report and Accounts 2012-13として2013年7月に公表されています。まあ3ヶ月、長くても4ヶ月もあれば十分のはずです。)

このような理由で、最新のデータは使えませんが、以下のような財政状況であることがわかります。

http://www.mof.go.jp/budget/report/public_finance_fact_sheet/fy2011/national/2011_01a.pdf

① 平成23年の3月31日の国の資産は628兆円、2012年の同時期の資産が625兆円であったので、資産額は3兆円増えた。

② 一方、同じく2013年の3月31日の国の負債が1088兆円、2012年の同時期の負債が1042兆円であった

③ つまり、46兆円の借金を増やして、資産が2兆円しか増えなかった(債務超過の状態が差し引きして44兆円悪化した)ことがわかる。

④ 平成23年度の財源が95.7兆円、業務費用合計が139.1兆円、平成22年度の財源が92.2兆円、業務費用合計が133.8兆円
ここから、平成23年度は財源が前年度に比べて3.5兆円増えたものの業務費用が5.3兆円増えたことがわかる。(その他資産評価差額や為替換算差額等もありますが、特別損益要素なのでこの計算には含めていない。)

⑤ GDPを500兆円と概算すると、年度赤字が平成23年度で43兆円(GDPの8.6%)、平成22年度が42兆円(GDPの8.4%)となる。
これは、欧州の健全指標といわれる対GDP3.0%(マストリヒト条約の合意値)の2.8倍であり、赤字の回収が可能なレベルをはるかに上回っている。

PFIの仕組みは、単にキャッシュフローを改善するだけでなく、民間の債務による民間の投資を引き出し、公共のキャッシュフローの改善と、公共の財政状況の改善を同時に満たす仕組みです。
このような仕組みがあるのですから、どうしてキャッシュフロー改善に偏重した割賦支払い型PFIを増やすのかその理由を説明できません。

2. 勘違い説

私は1988年から2000年にかけて欧州に滞在していました。このとき日本から多くのPFI視察団が英国を訪れてきましたので、その対応に追われて大変でした。

使節団の数は極めて多く、会っても時間の無駄と思わせるようなケースが多かったようで、アポをとることが大変だった記憶があります。

そもそも、当時の英国にはPFIがいったい何なのかを明確に説明する資料がなく、適切なリスク配分とVFMの最適化を説明したブルーブックをいつも利用していたような記憶があります。

日本の視察団が、PFIを割賦払いだと思い込み、議員立法によって法律化の検討をしていた最中、英国では、PFIとは何であるのかを明確にするために、PFI契約の標準化(Standardisation of PFI Contract 通称SoPC(ソプシーと読む)のガイドラインの整備が行われていました。

このSoPCの”Issue0”、すなわち第1版が公表された時期と、日本のPFI法が成立した時期が同じであることから、日本のPFIは英国におけるPFIの実態がどのようなものであるのかを理解しないまま、視察によってPFIを施設整備費の割賦払いと勘違いして導入してしまったというものです。

3. 民間誘導説

もうひとつは、このようにPFIの実態が見えなかった中において、1980年代にアジア諸国でコンセッション事業に参画した日本のゼネコンや商社などが、PFIは施設整備の割賦払いであると断言したというものです。

割賦であれば、大規模修繕リスクをとる必要もないし、施設整備費のととりっぱぐれがないので、あらたなアウトプット仕様、モニタリング、業績連動の仕組等を導入する必要のない割賦払いを意図的にPFIと呼んで標準化してしまったというものです。

以上のように、なぜ日本のPFIが割賦払いなのかについての考察をしましたが、いずれも、しっくりと来る説明にはなっていません。

ただ、それがどのような経過で導入されたにしろ、間違って導入されたものであると考えます。

間違って導入したのであれば、訂正すればよいだけの話です。しかしながら、導入から13年以上経過しており、訂正できたにもかかわらず訂正は行われておらず、まだ、しばらくは訂正されないような気配です。

熊谷弘志事務所は、このような財政を悪化させることに繋がりかねない割賦払いのPFIを導入する支援は行いません。かわりに、本来のPFIのメリットか生かせる、財政の健全化と適切なリスク分担によって官民がWIN-WINとなれるような仕組みの構築をご支援します。

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