官民ファンド 看板倒れと言われる中の官民連携インフラファンドをチェックした

官民ファンド 看板倒れと言われる中の官民連携インフラファンドをチェックした

2013年7月11日付けの日経新聞に、”政府の緊急経済対策、実績乏しく 官民ファンド 看板倒れ 法整備後回し、資金塩漬け”という記事が出ました。

2012年度補正予算や13年度予算で設立・強化が決まった主な官民ファンドが次のように8つ記載されています。

1)地域経済活性化支援機構、
2)産業革新機構、
3)農林漁業成長産業化支援機構、
4)民間資金等 活用事業推進機構、
5)海外需要開拓支援機構、
6)官民イノベーションプログラム、
7)日本政策投資銀行の競争力強化ファンド、
8)耐震・環境不動産形成促進事業)

これらのファンドを統括している内閣官房の官民ファンド総括アドバイザリー委員会のホームページを見ると、これらのファンド以外にも、独立行政法人中小企業整備機構の投資ファンド、海外需要開拓支援機構があるため、官民ファンドは10種類であることがわかります。

このうち、PFI事業に関連性のある 4)民間資金等活用事業推進機構についてwebで情報を検索してみました。

官民連携インフラファンドを説明する資料として内閣官房PFI法改正法案等準備室・内閣府PFI推進室が作成した「株式会社民間資金等活用事業推進機構(仮称:官民連携インフラファンド)についてという資料が開示されています。http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/fund/dai2/siryou1.pdf

詳細な説明が無いため、わからない部分が多いのですが、開示された資料にもとづいてその内容についてコメントします。

まず、大臣答弁でもそうだったのですが、PFIとはどのようなものかについての説明が曖昧です。

PFIとは、民間の資金、運営能力及び技術的能力を活用して、従来調達と同一水準のサービスをより安く、又は、同一価格でより上質のサービスが提供できる手法となっていますが、具体的にはそのようなVFMを生み出す源泉がなんであるのかについては記載されていません。(基本的なPFIの考え方については http://office-kumagae.com/ の2013年7月12日付ニュースを参照)

また、発想と仕組みの転換方として「短期的な需要創出」から「経済成長・財政健全化の両立へ」をやってもらわなければならないのですが、「PFI/PPPについては、旧来の延払い型から受益者負担の下、最大限民間の資金・ノウハウを活用するものに抜本的に変えていく」としている点が気になります。
述べ払い型と対比すべきものは、業績連動型であって、受益者負担型ではないからです。

次に、アクションプランに記載されている対象となる事業構成および、金額がポテンシャルのある市場規模を意味しているのか、遂行予定のある事業であるのかわかりません。

1)コンセッションを活用したPFI(2~3兆円)
2)事業収入等で費用を回収するPFI(3~4兆円)
3)公的不動産の有効活用等の民間提案PPP事業(2兆円)
4)その他の事業類型(業績連動、複数施設の包括化(3兆円)

そして、これらの数値を積み上げて、10兆円〜12兆円の根拠としていますが、但し書きとして次のような記載があります。

※事業規模目標については、民間の提案、イニチアチブを最大限尊重することから、具体の事業計画を精緻に積み上げたものではなく、各府省による取組の推進やインフラ投資市場の活性化等が図られることを前提に、官民で共有するべきものとして設定したものである。

これだけの説明では具体的に何を意味しているのかは不明ですが、実現可能性が低いものも含まれているという意味にも取れそうです。つまり、全てのケースの実現可能性が全体的に20%ならば、2兆円〜2.4兆円になるかもしれないということを言おうとしているようにも見えてしまいます。

アクションプランならば、もっと具体性のあるものにしないとアクションの取りようがないのではないかと感じます。

事業例①の羽田空港は、旅客ターミナル等整備・運営事業、貨物ターミナル整備・運営事業、エプロン等整備事業に分割していますが、世界的な空港のPPPの動向は、これらの一括発注であることを承知の上での前提なのかについても気になります。

事例②は下水道工事のみです。民間ノウハウの活用が可能な上水道との連携についての考え方が記載されていない点も気になりますし、自治体が経営管理・監視・監督をしたり、企業債を起債することになっていますが、民間資金調達との資金の切り分けがどうなっているのかがわかりません。

法改正の概要において、この機構が対象とする事業が独立採算型の事業に限定されていますが、なぜ限定しているのかについては明確な理由が見当たらない点も気になります。
さらに、官民連携ファンドの説明において、国と民間の出資がありますが、民間の融資(出資も含まれるかどうかは不明)に対してなぜ政府保証をつけるのかわかりません。株式会社に事業内容を評価させて融資を決めさせるのであれば、政府保証は不要なはずですが、出資した事業が破綻した場合に、税金で民間損失を補償する必要がどこにあるのでしょうか?モラルハザードにつながる可能性があります。このような、いたずらに民間を保護する仕組みはかえって民間の競争力を低下させることにつながりかねません。

加えて、インフラファンドの概要を示す上で最も重要だと思われる点ですが、どのような基準でインフラ出資を行うのか、また、どのような組織にそのインフラファンドの出資を行わせるのかについての記載がありません。少なくとも、直接PFI事業に出融資する目的と、民間インフラファンドに出融資する目的は明確にしてもらいたいものです。
全般的にイメージ図だけの記載が多く、説明がないのが気になりました。本当に議論ができたのか心配です。

 

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